蠍座の神話
蠍座の「サソリ」は、ギリシア神話にでてくるオリオンを殺した巨大サソリのことです。
オリオンは海神ポセイドンとミノス王の娘の間に生まれた半神の王子だといわれています。
オリオンは大変な美男子ですばらしい体格もしていたので、いつも自信に満ち溢れていました。
ただ美しいだけではなく、力が強く弓矢の腕もだれより優れていたため、若いオリオンはそのことが得意でしょうがありません。
人に会うと自画自賛をくりかえし、しまいには横暴な態度にまで出るようになりました。
そんなある日、月の女神アルテミスと狩にでかけていたときのこと、オリオンはつい「この世の全ての動物を自分は射止めることができる」と豪語してしまいました。
その傲慢な態度に大地の女神たちは猛烈に腹をたて、巨大サソリをオリオンへと差し向けました。
そして、いつものようにふんぞり返るように森を歩いていたオリオンは、待ち伏せていた巨大サソリに足を刺されると、あっというまに毒が回り息絶えてしまいました。
神々の怒りにふれたオリオンを見事にしとめた巨大サソリは、その功績をたたえて天に召し上げられました。
そして、殺されたオリオン自身も、女神アルテミスの慈悲によって天にあげられ星になりました。
オリオンは、星になってからも自分を刺した巨大サソリを恐れていたので、蠍座が空に上がってくるとオリオン座は反対側の地平線の下へと隠れてしまうといわれています。
そのため、おなじ空に二つの星座が見えることはありません。
蠍座の特徴はオリオンを刺した針と毒矢に象徴されます。
忍耐強くひたすら待ちつづけ、ある瞬間に意識を集中させて毒針を刺す。
たった一滴の毒が全身に回ってオリオンは麻痺して死んでしまうわけですが、もしかしたら・・・それは甘美な死だったかもしれません。